信州・ゲストハウス「薪のあかり」
小川 芳明 様 ― 旅人の『帰る場所』を作りたい、という想いから始まった宿
30代の終わりに、東京の出版社を辞めました。父が残した古い農家を、どうするか決めかねていた頃です。一晩泊まりに来た友人が、囲炉裏の前で『ここはもう帰る場所みたいだね』と呟いたのを、今でも覚えています。
その言葉が、いまも宿の名前の根っこにあります。薪の火を囲んで、知らない人同士が少しだけ心を開く。翌朝、誰もいない縁側で、旅人がそっと手紙を書いて帰っていく。そんな時間を、静かに続けたかった。
以前のホームページは、写真ばかりが並んでいて、私の書いた文章はどこにも載せていませんでした。『綺麗だけど、あなたの声がしない』と、制作者の方に最初にそう言われたときに、少し悔しかったのを覚えています。
半年をかけて、フォームで何十通も文章をやり取りしました。通話は一度もしていません。でも、不思議と画面の向こうに、こちらの呼吸まで受け取ってくれている人がいる感覚がありました。
― 公開から半年、リピーターのご予約が全体の4割を超えました。